2009年12月24日木曜日

映画 カティンの森 12月24日

前回、平日午前中にも拘らず満席で入場観覧できなかったポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」を、神田 岩波ホールで見てきました。

今回は、気合を入れて朝10時40分には切符売り場に並び無事チケット購入。
しかし、席は自由席なので合流したT 画伯と開場前から入り口に並び、10時50分には入場。
11時30分開演。
いままでこんなに気合入れて映画を見に行ったことはナシ。前代未聞でした。

これは、 数ある氏の作品のうちでも、最も重要であり、長らく完成が待たれていた作品であったとのことで、開演前にはすでに9割方席が埋まっていました。
さすがに年配の方が多かったですね。

物語は、第二次世界大戦中の1940年春、ナチスドイツと一時的に手を組んだスターリンのソ連に占領されたポーランドの「カティンの森」で15,000人以上のポーランド軍将校が占領中のソ連軍により虐殺された事件。劇画のゴルゴ13にもこの事件は取り上げられたことがあり、ご存知の方も多いのでは・・・。

ドイツはその後ソ連に開戦し、カティンの森一帯を一時占領。
このときナチスドイツ軍により、虐殺の現場が掘り起こされその事実が明らかになります。

しかし、ドイツの敗戦でソ連の衛星国となったポーランドではこの事件を語ることは長年タブーとなっていましたが、冷戦の終結により、少しずつ真実が公にされ始め、事件から約70年たってようやく、この映画は完成したといいます。

それにしても、1943年春、カティンで数千人の遺体が発見されたとき、ナチスドイツは記録映画を作ってソ連の仕業と宣伝しソ連を非難しましたが、ソ連は否定し、厚顔にも逆にナチスの仕業として宣伝。
まるで今の中国や北朝鮮ののプロパガンダ戦略を見る思いがします。

ソ連は、ドイツの敗戦後はナチスドイツによる犯罪として非難し、ソ連の行為と主張する人間は厳しく弾圧しましたが、冷戦後の1990年、ソ連政府は、ようやく内務人民委員部(後のKGB)による犯罪であることを認め、謝罪しました。

物語は捕虜となった将校たちの不安と家族への思い、彼らの帰還を待つ家族の思いを通して、ポーランド人の味わった苦悩が描かれていきます。

しかし、これは決して過ぎ去った過去の異国の物語とは思えません。
かつて軍事大国だった日本の隣国の朝鮮や中国が苦難を味わったように、いまやアジア最大の軍事大国であり独裁国である中国に隣接する国として、日本や台湾にもいつかこのような苦難が襲い掛かっても不思議はないのでは・・・。考えさせられる映画でした。

映画後の地下1階のイタリアン パパミラノのパスタはお勧めです。


http://www.iwanami-hall.com/contents/now/now_discription.html

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